5085人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっとくだけすぎたかなとは思うんだけどねえ。あの格好、どう思う?なんか、人気が出ちゃったんだよ、時々現れるボランティアのガイドがかっこいいイケメンのおじ様とかって。」
それは分かる、なんだか俳優のような格好良さだ。
そこに、左遷されて都落ちし、祟りを恐れて崇められるようになり、今では学問の神様として有名になった偉人のイメージは、申し訳ないがほとんどない。
「でも、今の方が俺はいいと思うんだよね。神となって永い時を送らなくちゃいけなくなったんだし、一人寂しく孤独で孤高なんてよりもね。」
俺やタカなんかは、泉実の店で息抜きをさせてもらうようになってから楽しみが増えたし、きっとミハイたちも同様だよと、ウカさんは言ってくれた。
そうであったら嬉しい。
少しでもお客さんたちに、酒や料理とともに楽しい時間を提供できているのなら。
「ここまで来てもらってすまなかったね、泉実。」
「いえ。」
「こんな人間の店があるんだってみっちーに吹聴しちゃったもんで。外になかなか出られないみっちーが、泉実の店に興味もったから、せめて会わせてあげられないもんかと。そしたら、あの騒動だろ?牛繋がりでピンときたんだ。それで、泉実には悪かったけれど、利用させてもらったんだよ。」
そうか、そんな事情があったのか。
最初のコメントを投稿しよう!