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「無事か!?無事なのだな?よかった・・・!」
「ご心配をおかけしました。」
「俺の結界の中で、泉実に何かあるわけがないだろう。」
ひょこっと顔を出したウカさんに、ミハイさんが怒鳴る。
「いきなり泉実を閉じ込めたくせに!とっとと去れ!」
「はいはい。口うるさい保護者だよねえ。あと、みっちー。店に帰ったら泉実が何か料理作ってくれるって。俺がここまで運んでくるから、楽しみにしといてね。」
「それはそれは。ありがとうございます、宇迦之御魂神様。店主も。」
「いえ、こちらこそ、包丁の供養を引き受けてくださって、ありがとうございます。」
俺とウカさんと天神様の間で話はまとまり、ウカさんは石室の中に引っ込んだ。
そのまま、高天原か別の神社に戻っていったらしい。
道真公は、最初に会った場所の近く、御神牛の前まで送ってくれた。
またいつでも来なさいと行ってもらい、俺は頭を下げた。
人の波を避けて参道を歩きながら、さてどうしようと、俺は困った。
石室の一件以来、ミハイさんの不機嫌モードは解除されない。
ずっと口もきいてくれない。
静かでいいんだが、何か調子が狂うな。
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