居酒屋まるの包丁騒動記

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「ちっとも・・・・った。」 「あの・・・?すいません、もう少し大きな声で。」 「せっかく!あの駄猫と駄犬がいないというのに!ちっとも二人きりになれなかった!あんな土着の野良狐と元左遷落ちこぼれ人間なんぞが「わあああ!小さな声で!てか、小さい声でもやめてください!」」 ここはまだ参道だから!道真公のテリトリーだから!日本の神様に限って、見境なく喧嘩を売るのはやめろー!! 怒りどころはそこか! ウカさんや道真公に思うところがあるとかじゃなく、俺と二人で行動出来なかったっていう。 「しかも・・・っ、しかも泉実は一緒に写真も写ってくれないし!」 いや、だからおまえ、写真に写らないから、吸血鬼だし。 それを、いかにも俺のせいにするな、責任転嫁だぞ。 一度ごね出したら今度は止まらなくなったので、俺はしぶしぶ妥協案を出した。 「わかりました。写真撮りましょう。」 「・・・・・・・・・・・・本当だな?」 「はい。」 いいだろう、写真の一枚くらい! ただし、本当に気合程度じゃ写らなくても、絶対に文句を言うなよ? 疑い深くなっているミハイさんのために、俺は近くの土産物屋さんの店員さんに、携帯を渡して写真をお願いした。
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