居酒屋まるの包丁騒動記

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「ウカさん、九州ではお世話になりまして。」 俺が、カウンターの中から頭を下げると、お客さんたちの方がウカさんに文句を言った。 「ウカ様ったら、ちゃんとどういうところかおっしゃっておいてくださらないと!いえ、その、ウカ様がお悪いとかそういうわけではないんですけれど。」 ウカさんやタカさんを畏れ多いと思っている珠美さん、文句を言いきれずに失速。 「あそこの神様、人間みたいな気配なのに、すっげえ神気ばりばりで怖かった!です!」 木戸、使い慣れない丁寧語が似合わない。 「ああ、すまなかったね。もっとフランクに付き合ってくれて構わない相手なのに。みっちーも、その方が楽しいだろう。」 道真公のみっちー呼びに、やはり珠美さんや木戸が微妙な表情になる。 それに対し、怖いもの知らずなのはミハイさん。 「世話になるどころか、何も知らぬ無垢な泉実を拉致監禁しおって。二度と店に来るな。」 世話になったし、無垢じゃないし、拉致監禁はされてないから。 非常に嫌な言い方をしないでもらいたい。 あと、ここは俺の店。 おまえが来るなと言うんじゃない。
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