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「ただし、泉実様に掛かる厄に、厄除けとして御利益がございます。お料理の分とお酒の分の2回だけですが。」
「厄除け・・・ですか。」
厄除けは割と神社でよくある御利益なんだが、一体どういうことだろう。
狐はぺこりと頭を下げると、帰っていった。
その夜、ミハイさんと木戸の他に、珠美さんはご主人の相原さんと一緒に来店、ろくろっ首の琴子さんや華原さんも来てくれて、7席あるカウンター席の6席埋まった。
それで、俺は狐が届けてくれた御守りを見せて、言われたことをお客さんたちに話した。
「そいつぁありがたいもんをもらえたもんだね、兄さん。」
御守りを丁寧に手に取って眺めると、琴子さんは感心したように言った。
「すげえじゃねえか、烏丸さん。にしても、この面子が揃ってて、烏丸さんにそう厄なんざ降りかからねえだろうからなあ。」
相原さんはそう言うが。
このお客さんたち絡みで、何度大変な目にあったことか。
「やぁだぁ、泉実ちゃんたらぁ!厄と言えば、ここに大厄がいるじゃなーい!」
楽しそうに言ってのけた華原さんの一言に、お客さん全員がミハイさんを見る。
華原さん、それは失礼ってもんだ、同族でしかも未来の吸血鬼一族の次期族長相手に。
まあ、いつものことだけれどな。
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