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ミハイさんの叫び声に、思わず俺はカウンターから身を乗り出した。
雷の直撃って、さすがのミハイさんも黒焦げとか、大怪我とか。
「お、おのれぇ・・・!私の完璧な将来設計を・・・!」
元気だった。
痺れてカウンターに突っ伏してはいるけれど、まったく元気だった。
不死身か、こいつ。
「あらー、本物ねえ。邪念の塊を正確に攻撃してくれるんだから。泉実ちゃん、よかったわねえ!うちの子でさえ痺れてしばらくは動けなくなるくらいだから、これはすごいわよう!」
「ちょいと、華原さん。吸血鬼の兄さんで試しちゃあ駄目じゃないか。2回しか使えないってもんを、もう1回使っちまうなんて。」
はっ!
そうだ、これ、2回限定・・・それを既に1回使うなんて!
「やっぱ、吸血鬼の旦那は、存在だけで厄なのかもしれねえなあ。」
相原さんがしみじみと言い、俺は残量1となった御守りを受け取って、何だか切なくなった。
その後、厄落としよと華原さんが主張しお客さんたちの代金全額ミハイさん持ちになったのは、さすがの俺も納得いかないぞ。
すごいな、吸血鬼同士での潰し合い。
同族への配慮ゼロ。
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