エピローグ

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エピローグ

「ねえ、この子の名前は何にするの?」 「そうだなあ。香晴と允の名前からそれぞれ取る、というのはどうだろう」 「それだと何になるんですか?ぱっと思いつかないんですけど」 「ううん……」  温かい日差しが差し込む部屋で、香晴と允、そしてノアの三人が赤ん坊を目の前に頭を悩ませていた。  実は、あの時保健室で初めて交わってから、本当にすぐに命が宿った。あれから一年ほどが経ち、ノアは小学六年生に上がったのだが、年の離れた妹ができて嬉しいようだ。  早くも兄バカの兆しが表れており、率先して世話をしたがった。  そして、今はまだ無理だが、これを機に来年はノアの卒業と共に引っ越しをすることが決まった。学校側には允とのことなど事情を話しており、香晴の次の勤務先は既に決まっている。  それは喜ばしいことだが、未だに娘の名前が決まっていないのが問題だった。 「僕の名前からはつけなくていいので、いっそ香織とかどうですか? 」 「いやいや、俺は允の名前から取りたい。光と書いて、みつとかどうだろう」 「いやいやいや」  そうやって、延々と譲り合って一向に決まらないのだ。  一方、そんな二人のやり取りを見ていたノアはと言うと、大人顔負けの呆れ顔をして、妹に話しかけた。 「パパたちはラブラブだねえ。お前の名前が決まるのはもっとずっと先になりそうだよ」 「あう?」  赤ん坊はようやく開いた目で、不思議そうに兄を見つめ返した。
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