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僕にはふたつの隠し事がある。
ひとつは、お尻のところに犬のような、ふさふさとした白い尻尾がくっついていること。
僕は愛情をもって、「シッポ」と呼んでいる。
なんとなくだが、カタカナにするとペットの名前みたいで愛着がわくからだ。
発音は「ZIPPO」というライターと同じで、「ポ」の音を下げない。
シッポとは幼い頃から、ずうっと一緒だった。
人に見られてはいけない相棒なので、いつの間にか隠すのも上手くなった。
今では僕が意図的に見せようと思わない限り、他人に気付かれることはない。
ふたつ目は、満月の夜に現れる、僕の裏の顔だ。
僕は月光が統治する世界で空の暴走族となる。
祖父の遺した有人操縦ドローンに乗り、シッポを風になびかせて都会の夜を飛翔するのだ。
満月の光を浴びるとき、僕の心は歓びで満たされる。
他のどのドローン乗りよりも優れているのだと、実感できるからだ。
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