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跨線橋
廊下を歩いてくる教頭先生の足音。だんだん近づいてくるのに令草は私の頭を抱え込み、唇を奪い続ける。ギリギリで彼は私を開放する。
「お待たせして悪かった。結論から言うとアルバイトは認めます。それとね、少し込み入った話があるので谷くんは職員室へ来なさい。大塚は帰りなさい。もう5時だから。」
私は令草を見て、ちょっと微笑み、教室を出た。微笑んで見せたのは、私は令草のキスが嫌ではなかった、という意思表示。
次の朝、私はさすがに沼や令草の家がある方には行かず、自宅の裏庭にあるアジサイをスケッチしていた。5時半頃、令草とユメちゃんのお父さんが一緒に新聞配達に来た。私は彼から新聞を受け取り、ホッとした。新聞配達を始めたということは、しばらくは、急にいなくなったりしないだろうと思った。
その後も新聞配達する令草を時々どこかで見かけたが、二人で会うことはできなかった。私は彼と会いたかった。やっぱり彼の『毒』に『犯された』のかもしれない。
盆踊りの夜。盆踊り会場周辺の夜店が並んだ一帯には大勢の人々が楽しそうに行き交い、花火も打ち上げられていた。私は夜店に興味はなかったが花火は見たいと思い駅の跨線橋に上った。少し遠いけど、きれいに花火は見える。
ぼんやりと一人で花火を眺めていると、誰かの手が私を目隠しした。匂いで令草だとわかった。彼の手に覆われた目から涙がにじんだ。
令草は後ろに立ったまま私の頬から首をなぞるように手を下に這わせ、私の両胸を触った。彼の手は私の乳房を優しくあたためていたが、気が付くと私の背中に彼の硬直したアソコが当たっている。手は乳房を揉み始めアソコを私に擦りつけながら、彼は私の耳に息を吹きかけるようにささやいた。
「危ないよ。こんな夜、一人でウロウロしちゃいけない。何度、注意してもわからないんだね。どうするんだ。毒針に刺されるぞ。ほら、ほら、もう毒があふれそうだ。」
令草は体全体で私を壁に押し付けたまま蛇のように体をくねらせ私の唇を激しく奪った。私は花火が炸裂する音と光の中で、限りなく恐怖に近い危険な炎に包まれる。危険な炎はどこまで炎上するだろう。どうしよう。不安と迷いが渦巻く底で、『待っていただろう?この瞬間を、待っていたじゃないか。』と自分の中の魔女がささやく。私は自分から令草の体にしがみつき、自ら唇を求めた。彼と舌を交わりながら夢中で抱きしめ合ううち、彼は私のスカートをまくり上げ下着の中に手を入れてきた。それは無理、それは絶対ダメ、と私は太ももをギュッと締めた。
「大丈夫、こんなところで毒針は刺さないから。いつ人が来るかもしれないし。それとも刺されたい?練習だけでもしてみたいか?こんなふうに。ほら、ジッとして。動いたら壊れちゃうよ。そう、いい子だ。」
令草は私のアソコに1センチくらい指先を入れた。私は怖かった。ジッと動かなかった。令草の指も動かない。それなのに、その指の熱は魔法のように私の体を熱くした。まったく予想したことがないザワメキが全身の細胞から聞こえ始める。ヤバ。これはヤバ過ぎる。
「どうした。うごいちゃダメだ。守らなきゃ。自分の大切な宝物は自分で守るしかないんだよ。僕は何もしてないだろう。ああ、ダメダメ。そんなに濡らしたらダメだ。すごい。あふれてくる。もう僕の指、アサヒの毒薬でマヒしてきた。どうするんだ。どうしたいんだ。」
私は自分の体に驚いた。令草の指がそっと触れているだけなのに、何かもう蕾が開花しそうな感覚に怯え、私は彼の指を引き離そうとした。そう思って彼の手をつかんだ時、その指はクイッと奥へ滑り込んでしまった。
「あ・・・」
と令草は小さく叫んだ。私は声も出せず震えた。
「大丈夫。痛くないだろう。痛くなければ処女膜を傷つけたりしてないから。アサヒは自分の潤いで指を吸い込んじゃっただけさ。落ち着いて。そ~っと抜くから。動いちゃダメだよ。今度は真面目に動いちゃダメだ。」
その時ガヤガヤと大人の声が響き、何人かが跨線橋の階段を上がってきた。
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