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本来の家主である和子は、新年を迎えて間もない頃、急死した。私を出迎えてくれたのは山田花子という女性で、現在この家の管理を任されている。私の大好きな祖母はもういない。その事実を、仏壇で微笑む遺影に手を合わせながら再確認をする。
花子は仏間の座卓に緑茶と豆大福を置くと、私と対面をする形で座布団に腰を下ろす。
「遠路はるばるお疲れ様、澄佳ちゃん」
「ありがとう花子さん。お茶なんて気を遣わなくても良いのに。私、お客様じゃないよ」
「うふふ。友人として出しているのよ。この豆大福、澄佳ちゃんは昔から好きで、和子さんも交えて一緒に食べたわね」
「そうだね。あんなに賑やかだったのに、ばあちゃんがいないだけでこんなに静かだなんて、不思議な感じがするよ」
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