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私はこれまでの経緯を花子に話す。シロとゲンゴロウも会話に加わり、私の話の足りない部分を補った。花子は口を挟まず、私達の話を全て飲み込むと「そうね」と頬に手を添えた。
「落ち込んでいると、どうして上手くいかないんだろう、自分は何をしているんだろうって悩むのよね。それで解決しようと思って色々やってみるけれど、なかなか上手くいかない。そういう時もあるわよね。そんな時には……」
「そんな時には?」
シロがその答えを聞くために身を乗り出す。
「ひたすら落ち込めば良いわ」
花子の出した結論に、一瞬にして辺りに静寂が訪れる。縁側の下を歩いている蟻の足音が聞こえそうなほど、静かだった。
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