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「……花子さん、それって解決してないんじゃない?」
シロのツッコミを皮切りに、ゲンゴロウが我に返りそれに続く。
「その通りじゃ。落ち込んでいるお嬢さんをいかに元気づけるか考えておるのに、落ち込むしかないとは、あんまりではないかね」
花子はシロとゲンゴロウの反応に穏やかな笑みを浮かべた。
「落ち込むと辛くて苦しいのは、終わりがないと思っているからよ。でもね、悩みごとには底があるのよ。とことん悩んで、悩み尽くすと、やがてどん底に辿り着くの。そこまでくればもう安心よ。だって、それ以上落ちていくことはないのだから」
私は花子の言葉に耳を傾ける。今私が苦しんでいる仕事の悩みにも底があるということは理解出来た。
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