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「底に来れば、上を見るだけよ。そうなればあとは昇るしかないわ。澄佳ちゃんが今苦しいのは、まだ底が見えていないからよ。悩みは、底に向かっている途中が一番苦しいの。苦しいけれど、向かう途中はとても大事なのよ。その過程に、悩みの根本の原因があるからよ」
「原因……。それは、私が仕事が出来ずに、失敗ばかりだから」
「澄佳ちゃんは、どうして仕事が出来ないのかしら？」
「どうしてって」
出来ないものは、出来ない。今の私にはそれ以上の理由が見つからなかった。
「澄佳ちゃんはまだ真の原因に気づいていないのよ。そこに気づいて初めて、どう解決すれば良いのかが分かるの。そして、原因を見つけるためにも、とことん悩んで、自分と向き合う必要があるのよ」
「とことん悩んで、自分と向き合う……。はは、何だか、大変だね」
私は花子の返答に、つい乾いた笑いを浮かべてしまう。私にそんなエネルギーは残っているだろうか。ただでさえ悩みで潰されそうなのに、自分と向き合うという課題を追加されてしまった。
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