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魔女と小人と少女
一軒家の四方を取り囲む広々とした庭と、生い茂る木々。その家は深い緑の傘の中にある。一見すると翡翠の楽園だが、私にとっては流刑地のようだ。それでも、一人暮らしのアパートを引き払った後、流される場所を選択出来たのは不幸中の幸いなのだと私は思う。
そっと青銅の門扉を押し、私は敷地内へ踏み入れた。春の女神を歓迎するように、アゲハ蝶が花々を愛でて飛んでいる。チューリップ、パンジー、ネモフィラ、シャクナゲを横眼に、庭を数メートル直進すると、木造平屋建ての玄関に備え付けられたインターフォンを押した。
数秒後、中から一人の女性が現れた。背中まで伸びる黒髪は陽光を浴びて星屑が光り、漆黒のシャツに同色のパンツが大人びた印象を引き立てる。美術館に荘厳に飾られた絵画のような、一目見たら忘れられない女性とは、彼女のことを言うのだろう。
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