1 星の数ほど……

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 授業も終わり、今日はサークルもない。  帰ろうと中庭を通っていると芝生広場で寝転んでいる圭斗先輩を見つけた。  相変わらずヘッドホンをしたまま。 「圭斗先輩」  私は勇気を出して近づいて、声を掛けた。    圭斗先輩は左耳のヘッドホンだけ外して、私に目を向けた。 「えっと、確か奈央だったよな、名前。  ……ごめん名字出てこない」  圭斗先輩は起き上がって頭を掻く。 「宮脇、宮脇奈央です。奈央って呼んでくれたらいいです」 「そうだ宮脇だった…。本当ごめん、サークル内でみんな奈央って呼んでるから名字出てこなかった」  溜め息を一つ吐いてから圭斗先輩は私の目をもう一度見た。
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