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※視点なし※
100年前の歴史に名を刻んだ、かの有名な王都の英雄グラディオ様をご存知だろうか。
赤く燃え上がるような髪に、血を流したかのような真っ赤な瞳を持つ大柄な男だった。
この世界を救い、グラディオ様は英雄として崇められ…崇めていたかつての仲間を大量虐殺して死んでいった…我らにとって悪そのものの象徴だ。
とはいえ実際グラディオ様が生きていた時代の記憶がある人物はどのくらい生きているのか分からない、魔法使いが勝手にグラディオ様の英雄録として魔法使いだけを美化して本にしていたから怪しいものだ。
グラディオ様が人間は奴隷という認識を改めさせたのは本当だ、まだ昔の名残が残っていて人間を奴隷扱いする魔法使いがいるのも事実だ。
グラディオ様が何をしたかったのかは本人じゃないと分からない、快楽殺人者だっただけかもしれない。
まぁ、それは我らにとってどうでもいい。
我らはただ、グラディオ様の能力の神々しさに惹かれたのだ。
グラディオ様の能力は二つ存在している、今までの魔法使いの中で初となる二種魔法使いだった。
一つは髪と瞳の色のように全てを焼き尽くす炎の魔法。
そしてもう一つは、世にも珍しい呪いの力だ。
なんでも呪いの力は全身が黒い力に覆われ、触れた相手の魂を抜き取るという恐ろしい力だ。
グラディオ様はその力を嫌って使わなかったそうだったが、最後の王都大量殺人で呪いの力が暴走したという。
その力が人間にあればきっと魔法使い達は、かつて人間に強制してきたように奴隷に出来るかもしれない。
グラディオ様が滅ぼした敵国はもう建物も崩壊して人一人としていない場所となっていた。
唯一無事だった城をアジトとして、いろいろ研究した。
人間にどうやったら魔力が宿るのか、どうせなら呪いの力が好ましい。
王都の奴らは我らを義賊集団と呼ぶ、罪を犯した魔法使いだけを殺している。
しかし王都の間抜けな奴らは知らない、魔法使いを殺すのは魔法使いの血液が欲しいだけだ。
魔法使いの血液には魔力が流れている、研究材料として十分だ。
罪を犯した魔法使いだけを狙うのは、義賊だと人間達が我らを崇めはじめて信者を多く作る事。
魔法使いではなく、人間を優位にする世の中を作る事だ。
魔法が使えるから魔法使いが偉いというのなら、人間も魔法が使えるようにして魔法使いは特別ではない事を知らしめよう。
たとえその魔法が人の手で作られた人工のものだとしても、魔法使いに復讐出来ればいい。
義賊集団の全ての人間は魔法使いになんらかの恨みを持っている。
魔法使いを奴隷にしたら、昔の魔法使いと同じになると考える者もいるだろう。
正直それで構わない、魔法使いと同じ事をしようともそれで魔法使いが苦しむというのなら…
材料はいろいろと揃えている、魔法使いの血液と魔法使いの魔法の元でもある使い魔もいくつか闇商人から買い魔法研究の準備が出来た。
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