785人が本棚に入れています
本棚に追加
薬を作り、仲間達に飲ませると魔力が宿る成功例もあったが失敗して苦しみながら死んでいった者もいた。
成功例はとても少なく50人はいた筈の仲間達は15人まで減ってしまった。
それに人工の魔法だから殺傷能力はなく、上級魔法使いの間ではゴミ扱いされている中級魔法使い程度の力しか宿らなかった。
罪人は中級魔法使いばかりだったから、ただの人間と魔法使いよりも魔力が低い使い魔でも殺す事が出来たが…実験に成功して魔法が使えてもこのままだと上級魔法使い一人にも勝てない、また人間は無能だと言われてしまう。
そこで魔法使いも仲間にすればより現実味が増すだろう。
とはいえ魔法使いを奴隷にする手助けを魔法使いがするとは思えない。
長年研究していた人工魔法ともう一つ、呪いの魔法があった。
呪いの魔法は他の魔法とは違い、主というものがいると本に書いてあった。
グラディオ様の主はいなかったが、グラディオ様が従うと決めた相手が主になると仲間に話していたそうだ。
それは使い魔が主に従うそれにとても近かった。
呪いの魔法を人工で作り、それを魔法使いに植え付ける事が出来れば我らの言いなりに出来るかもしれない。
人工の魔法だから、作った人物が主となるだろう…魔法使いの意思とは関係なく…
呪いの魔法は魔法使いの血液では使えない、呪いの魔法が使える魔法使いの血液なら出来るだろうが、今までそんな魔法使いに出会った事がなかった。
どうやって作ろうか考えていたら、その人に偶然出会った。
黒い力を手にまとった神々しいその姿は写真でしか見た事がないグラディオ様と重なった。
あの力は間違いなく呪いの魔法だ、その力で人の魂を奪う場面は見れなかったが希望が見えた。
彼を仲間に出来れば人工の魔法が作れる、我らの時代がやってくる!
彼の名はゼロ・イスナーン、今現在は王都の騎士団長をしている。
歴代最高の魔力の持ち主で、仲間に引き入れれば上級魔法使いを従わせる事だって容易くなる。
しかしそれだけ仲間に引き入れる事は難しいだろう。
差別を無くそうといろいろとしているみたいだが、我らも魔法使いを差別しているから魔法使いの理不尽さを感じているのが同じでも、ゼロ様と同じ志を持っているわけではない。
世間では義賊も差別反対だと言われているからそれを利用して引き入れる事も考えた。
しかし、いつか嘘はバレる…ゼロ様は決してバカではない…すぐに見破るだろう。
ならばゼロ様を説得して仲間に引き入れるより、ゼロ様の中の呪いの力に直接訴えかければいい。
そこで呪いの力に最も似ている魔法を調べ上げた、時間は掛かったが我らの野望のためなら微々たるものだ。
魔法は属性が違っていても、似ている属性がぶつかり合うと惹かれ合い力を強く反応するという研究成果が昔からあった。
水と氷、雷と光、大地と風などがそうだ。
呪いの力みたいな希少価値ではないが、とても少ない闇魔法が呪いの力と惹かれ合うと思われる。
最初のコメントを投稿しよう!