午前3時、時計が鳴る訳

午前3時。私の家の中にある壁掛け時計は、この時間になると「ボーン、ボーン」と低い音を鳴らして時を伝える。
午前3時に時計が鳴るなんて、迷惑な話だ。私は常にそう思っていた。
しかも、その時計の音を聴くと涙が止まらなくなるのだ。訳も分からないまま、涙が溢れて止まらない。

今日も時計が午前3時を伝える。
「ボーン、ボーン」
私は涙を流しながら、時計に触れた。ああ、私は、この時を忘れてはいけない。あの人が逝ったこの時を。