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フリーデの小さな手からガラス瓶を受け取ったエルドレッドは、彼女の言うままに、青い液体をランタンの中に注ぎ込んだ。
薄い茶色を帯びたランタンの油は、見る間に青く染まってゆく。
「何ですか? これ」
興味深そうにランタンを見つめるナナエが聞くと、フリーデがエルドレッドに視線を向けた。
「ランタンを点けてみて。本当は、布に染ませて生水のろ過に使う顔料よ。あたしらドヴェルガンが野営のときに使ってる」
エルドレッドは地面に置いたランタンの芯に、馴れた手付きで火を点した。音もなく燃え上がった小さな炎を見て、ナナエが感嘆の声を上げた。
「わあ、きれい……!」
火屋の中で、炎は清らかに蒼く揺らめいている。
フリーデに渡された液体は、ランタンの火を青色に染めるためのものだったのだろう。
エルドレッドも思わず声を上げた。
「蒼い火? 何でこんなことを?」
エルドレッドはまじまじとフリーデの顔を見つめた。
だが腕組みの彼女は、分厚い眼鏡の奥で目を細めるだけ。
笑みなのか、それとも何か気分を害したのか、全く見当も付かない。
「すぐに分かるわよ」
それだけ答えたフリーデが、ルーテルを見上げた。
眼鏡の奥から毅然とした視線を騎士に向け、上から目線で指示を出す。
「ルーテル、隊列と進軍の指示を出して」
「よろしい」
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