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ルーテルも心得たもので、微笑さえ浮かべ、全員を一瞥する。
「私の提案する隊列は、前衛が二名の横一列、後衛は縦一列。後衛の最後は私が守る。前衛にはエルドレッド君と、ランタンを持ってフリーデ君が付いてもらうのがいいと思うが……」
滔々と述べた騎士が、エルドレッドに視線を注ぐ。
「どう思う? エルドレッド君は……」
「あ、待ってください」
ルーテルの差配に先に口を挟んだのは、ナナエだった。
彼女はヘーゼルの視線をルーテルに向けつつ、ちらちらとエルドレッドの顔を窺がっている。
「先頭でランタンを持つのは、わたしがやります。このアリ人間に詳しいフリーデさんに何かあったら、わたしたち全員が困りますから。真ん中にいてもらうのが安全じゃないですか?」
「しかしナナエ君。君は前衛に立つには装備が脆弱すぎるし、悪路にも地底にも不慣れだ。先頭はフリーデ君に任せるべきだ」
するとフリーデが、反抗的な様子で難色を示す騎士を見上げた。
「あたしは戦闘要員じゃないから、前衛には立たないわよ。斬り合いは苦手だし、戦いはあたしの役目じゃないんだから。あたしだって死にたくないもの。死んだら丸損だわよ」
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