第三章 黄色の森

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 エルドレッドはナナエに強く囁く。 「みんな一緒にいれば怖くないよ。行こう」  向き直ったナナエが、強張った笑みを見せた。  深くうなずいた彼女は、穴へと向かって踏み出した。  エルドレッドも、ナナエよりも呼吸半分、早く歩き出す。  そんなエルドレッドに、背後からフリーデの忠告が聞こえた。 「塚に入ったら、剣は鞘に戻してよ。可能な限り、カエンイモムシともアリとも交戦は避けて。鉢合わせをしたら、退くか盾で押しのけるか、どっちかだわよ。間違っても、あんたから攻撃しないで」 「ああ、分かった」  ひと言返し、エルドレッドはナナエとともに、暗い出入口へと踏み入った。
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