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連隊の視線を一身に浴びながら、ルーテルが堂々と告げる。
「今回のミルメク、いやトリツキタケの案件は、亡くなったベロッソ殿が独りで計画し、実行したものだ。そしてセティ君も含めた我々五人の連隊が、その彼の目論見を未然に阻止した。これこそが大公殿下、大法院、それに魔術結社中央会議(セントラル)の最終的な統一見解だ。すでに三者の署名入りの議事録を取り付けた。もう大丈夫だ。セティ君も、堂々と村へ帰ればいい」
張りつめた小部屋の空気が一気に氷解した。
咲くような笑顔で義兄と手を取り合うナナエを見て、エルドレッドは深い安堵と、ちょっぴりくすぐったいような感覚を覚えた。
……それにしても、ルーテルはどうやって円満に事態を収めたのだろうか?
エルドレッドと目の合ったルーテルが、軽く目を伏せた。
円卓に両手を重ね、騎士が言葉を繋ぐ。
「この案件の全事実を知るのは、我々五人とベロッソ殿のみ。だがベロッソ殿はすでに亡く、ミルメクの城も焼け落ちた。残ったのは我々騎士団側の証言と、ベロッソ殿が魔術結社中央会議の望んで招聘した人物、という事実だけだ」
ルーテルの口元に、かすかな笑みが浮かぶ。
思慮深げだが、同時に一癖も二癖もありそうな笑みだ。
「あの組織は、ことのほか体面を重んじる。第零局顧問ベロッソ殿の今回の暗躍が表に出るのは、彼らにとっても非常に都合が悪い。平和を維持するはずの組織が、世界終末の策謀を巡らせた、とあってはね」
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