第七章 円満な解決

10/11
前へ
/300ページ
次へ
 騎士の勧めるまま、エルドレッドは鞘に戻した剣をベルトに下げた。  今の今まで軽く浮付いていた左の腰に、剣の重みが実に心地いい。  しっくりと落ち着いた気分を久しぶりに味わい、エルドレッドの口許が自然と緩んでくる。 「嬉しそうですね、エルドレッドさん」  気が付くと、ナナエが彼の横顔をじっとのぞき込んでいた。  そのヘーゼルの瞳は、好意的なきらめきを宿している。  何となく照れくささを覚え、エルドレッドは髪をくしゃくしゃやりながら、椅子に腰を落とした。  そんなエルドレッドを微笑ましげに見ていたルーテルが、円卓を囲む四人を順に見回す。 「今日までずっと緊張を強いてしまって、本当に済まなかった。緊張も解けて、そろそろお腹も減っただろう?」  悪戯っぽくそう言って、ルーテルがパンッ、と高らかに手を打った。  同時に遊戯室の扉が開き、空腹を的確に衝く匂いとともに、料理が円卓へと運ばれてきた。 「わっ、すごいっ!」  目の前の料理を前に、歓喜の声を上げたのはナナエだった。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加