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終章
エルドレッド、セティ、ナナエ、フリーデ、それに騎士ルーテルが囲んだ最後の晩餐は、やがて終わりを迎えた。
全ての皿は綺麗に平らげられ、セティとナナエ、それにフリーデが席を立つ。
二人の少女は、まだ座ったままのエルドレッドに視線を送りながら、彼を軽く差し招く。
小さくうなずいたエルドレッドが腰を上げかけたその時、ルーテルが彼を呼び止めた。
「すまないが、エルドレッド君はちょっと残ってもらえないか? 少しばかり話をしたい」
「えっ?」
「えー……?」
小さく声を上げ、エルドレッドはナナエ、フリーデとお互いに顔を見合わせる。
どことなく不満げに映る少女たちだが、魔術師セティが義妹の肩に手を置いた。
彼の深く落ち着いた目が、ナナエに遠慮を促している。
「……うん、分かった」
頬を膨れさせ、わずかにうなだれたナナエだったが、何度も振り返りながら遊戯室の戸口をくぐった。
フリーデも何か言いたげな口元をぐっと結びつつ、この小部屋を出る。
切なそうな眼差しを、エルドレッドに送りつつ。
最後にセティがルーテルに会釈を残し、静かに部屋を去った。
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