72人が本棚に入れています
本棚に追加
聞き返したエルドレッドに、ルーテルが不敵な微笑を見せる。
「そうだ。君はまだ二十歳前だが、第四階戦士という中堅階梯にまで達している。だがもし君が本当に騎士になりたいのなら、第五階戦士“護士(フェンサー)”に到達してきて欲しい」
ルーテルの眼差しが、静かに熱を帯びてくる。
「一年間待とう。来年の明日、第五階戦士の君とこの宿で再会できたなら、その時こそ君を叙任試験へと推挙しよう。君なら一年あれば第五階戦士へ昇格できる、わたしはそう信じているよ」
ふっ、と吹っ切れた息をついて、騎士が立ち上がった。
「さて、私の話は、これで全部終わった。君は明日には発つのだろう? 明朝の旅立ちに備えて、今夜はゆっくり休むといい。明日、もう一度会おう、エルドレッド君」
最初のコメントを投稿しよう!