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深い吐息とともに、エルドレッドは腕を下ろした。
目を伏せた彼に、ナナエが囁く。
「エルドレッドさん、また旅に出るんでしょ? 今度は本当の騎士を目指して」
「あれ、どうしてナナエまで知ってるんだ?」
またも驚かされたエルドレッドに、ナナエの後ろから青年の声が詫びる。
「遊戯室を出てから、みんなで廊下から立ち聞きしてしまったんだ。申し訳ない」
質素な旅装のセティだ。
手荷物もほとんどないが、いつでも発てるように見える。
いかにもすまなさそうなセティを見て、エルドレッドは屈託なく小さく笑う。
「あ、別に気にしないでいいから、そんなの」
彼が快く言うと、ナナエの細い腕にギュッと力が込められた。
「エルドレッドさんなら、あの騎士さまにも負けない、立派な騎士に絶対なれるから。わたしも、騎士のエルドレッドさんに会ってみたい……」
ナナエと胸を触れさせたまま、エルドレッドは強くうなずく。
「騎士になったら、必ずナナエに会いに行くよ」
「絶対、絶対ですよ……!」
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