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大学の席で妙な気だるさに机に突っ伏していた。
考えてしまうのは皇成の事。
あれから1年の月日が経ち、郁也の兄、拓真は皇成から希に来るメールだけを見ていたらしく、パリのどこで誰といるのかさえわからないと言っていた。
そしてそのメールは3ヶ月前からは途絶えていると。
あの日の出来事がこんなにも自分の中に残るとは思いもよらず、皇成という欲求不満にさえなっていた。
「 ……い、おい!来栖、聞いてんの?」
は…… あ、しまった!
「 悪い、寝てた 」
「 だろうな、寝不足?」
「 いや~ そうかも…… 」
頭が重いか… いや、これ頭痛か?
「 来栖?」
何だよ、マジで頭痛かよ……
頭痛で頭を抱え机に突っ伏す俺を心配するのは神楽 健聖(ケンセイ)。
大学では何かと騒がれる“イケメン王子”で女からモテモテな奴だ。
性格的には控えめで静か、優しく世話好きな面がある。
「 来栖、ちょっと来い 」
「 え~…… 」
「 あれ、憂? 何、どうした?」
郁也……
「 来栖、気分悪いみたいだから連れてく 」
「 わかった、憂しんどかったら帰れよ、バイト先には俺が言っとくから 」
頭痛のせいか構内の光に痛みが増す。
……アイツにイカされる夢なんか見るからだ。
ったく頭痛とかガキかよっ
「 来栖、ここなら暗いし静かだから机にでも寝てろ 」
ん? 机…?
「 は!? なんでここっ 」
そこは大学内の噂でもある開かずの間。
つまり今は使われてないという部の怪しい空き部屋。
なんでこの部屋?
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