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俺を部屋に連れ込んだのは神楽 健聖。
なぜこの部屋なのか意図がわからない。
「 神楽、あのさ… 」
「 ここ案外知ってる奴は知ってて利用してんだよ、来栖を静かに寝かせるにはここがいいと思って 」
いやでも、だからって……
薄暗い部屋の中を見渡せば散らかりもなく、手には誇りもつかず綺麗だ。
しかもソファには畳まれたブランケットがある。
だからこそ怪しい…
「 来栖、ソファに横になれば楽だぞ 」
言われて座り横になると、神楽は俺の額に手をあて熱があるか見ている。
部屋が暗いおかげで頭痛はひどくはないが目を閉じた。
神楽は少し待てと言って部屋を出ていく。
絶対あの夢のせいだな…
頭痛なんかどれくらいぶりだ?
熱はないし、少し寝れば治るな。
まさか、知恵熱?んなわけないな。
ブランケットはきちんと洗われているのかほんのりフローラルの香りがする。
そのまま眠りに落ちてしばらくすると神楽が戻ってきていた。
「 ん… 神楽?」
「 どう、気分は 」
「 ん~ まぁまぁかな、ありがとな神楽 」
「 いいよ、俺お前好きだし 」
……え? 好きって、ああ友達だもんな。
ソファの隙間に軽く腰を下ろした神楽がまた俺に熱があるか見ているが、大丈夫だと体を起こして言った。
「 心配かけて悪かったな 」
その言葉がいい終わると同時に俺に触れる神楽が……
それは唇で、神楽が俺にキスしていた。
あまりの驚きで唇が離れると手で覆った。
な… 今、俺にキスした!?
「 友達だから好きって、それもあるけど違うから 」
「 え、何言ってんの神楽…… 今のさ、何、キスとか間違ってね?」
「 好きな奴にキスしたのが間違いって言うの?」
神楽… 何言ってんだよ、おかしいだろ。
「 わかってると思うけど俺もお前も男だから、キスは違うだろ 」
人気者でモテモテな神楽がなんで俺?
どうかしてるだろ……
「 来栖、俺…お前が好きだ 」
神楽の告白。
俺は今、神楽に捕らわれたようだ。
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