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郁也はこの時、玲央にドキドキとし始めていた。
自分で気づく初めて感じる新たな心音に戸惑う。
視線ごと俯く郁也に玲央はどうしたのかと聞くが郁也は顔を上げられずいた。
赤らんだ顔をしていたから。
「 郁?」
「 何っ 」
「 顔、赤いぞ?熱あんじゃねぇ?」
郁也の額にまた玲央の手が……
ますますドキドキする郁也はその手を振り払って立ち上り玲央を見た。
心配する玲央に何かを言わなくてはと思うも言葉が出ない。
玲央も立ち上り郁也の額にまた手をあて、言った。
「 お前熱いぞ、送るから帰ろ 」
言われるままに玲央に着いていく郁也。
「 ……玲央って彼女いたっけ?」
「 いない、別にいらないし 」
「 あ、そか…… 」
「 でも、好きな奴なら…いるけど 」
郁也はまた俯く。
そして思った、俺なら良かったのに…と。
女でなく男に、友達の玲央にドキドキする郁也は憂と同じだと実感していた。
「 郁?」
「 うまくいくといいよな、好きな奴と… 」
「 だな。まぁ、チャンスはいつ来るかわかんねぇし、その時は逃がさないけど 」
郁也は玲央の言葉に苦笑しながら家へと送られた。
誰もいない家、玲央が部屋にいて妙に緊張する郁也。
そして、それは突然起きた。
「 郁 」
呼ばれて振り向いて、重なる玲央の唇。
キスされたと我に返り気づくと真っ赤になり口を手で隠す。
「 謝らない、郁也が俺の好きな奴だから 」
「 え… 玲央、あの… 何言ってんだ?」
「 誰もいないってチャンスだろ?いつもお前のそばには誰かいるし、俺が嫌なら暴れてでも止めてみろ 」
「 いや、でも… 」
郁也は玲央の顔が近づくのを許して、唇が重なるのを受け入れた。
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