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ホッとしたものの、俺の中に違和感が生まれた。
神楽が女といただけでこんなにも心乱れ落ち着かない。
これが皇成なら?
皇成を好きなのに、俺はなんなんだ?
「 来栖?」
「 あ… や、何?」
「 何って、どした?」
「 別になんでもない 」
皇成さん、あんたは俺と関係もって俺の心まで奪って……
あんたは自由だよな。
俺の側には神楽がいて、俺は揺れてる。
あんたがいないからだ。
「 来栖、ほんとにどうした?」
「 ……なんでもないって 」
「 実は話があったんだ、だから来てくれて良かったよ 」
「 話?」
……まさか、さっきまで一緒にいた女の事か?
それとも俺を好きじゃなくなった、とか?
いやいや、待てよ、好きな奴が出来たとか?
「 来栖、あのさ 」
「 待った! それっていい話か悪い話かどっちだ?」
「 ……良くも悪くも、あるようなないような 」
んだよそれっ
わかんねーよ!!
神楽の部屋で静かな空気が流れる。
俺に話があると言いながら神楽はなぜか急に俺を抱きしめてきた。
だから俺はわかった、俺にとって話とは悪い話かもしれないと。
「 来栖、皇成は…向こうで成功するチャンスを手にしたらしい。有名な写真家と知り合ってドイツに行くって……だから、たぶん帰ってこない。夢を掴んだから、もう… 」
……え?
皇成さんが、帰ってこない?
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