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「そう来ると思ったよ。いじめ問題はね、家庭、学校、警察、政治が成熟するまでは、大人の組織的児童虐待だ。
由衣がヒーローだったら解決する話じゃない。幸助君はあずかるよ」
桜の木が一斉に花をつけて、しゃっくりした
――いや、大きくなった。
伸びたのは1メートルほどだが、花魁と幸助を乗せてるいので、上に進むというより、右にしなる。
洋子が驚いていると、桜はまたしゃっくりでもするかのように、1メートル成長した。
今度は左にしなる。
次は空に向かって爆発的に伸び始めた。
洋子はもう幸助の姿を確認できない。
桜は床を唸らせながら、どんどん太くなり、まぶしくなり、
最後に洋子の前で竜巻のように旋回する黄金の昇竜になった。
リビングは光の洪水。
洋子は片方の袖で顔を覆った。
光の洪水が引いて行ったあと、彼女は腕を下ろして目を上げた。
ぱたんと音がして一階と二階の天井が閉まった。
洋子はあっけに取られて言葉をなくす。
自宅は元の形に戻っていた。
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