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間髪入れずに断言をされて、俺もすかさず言い返す。
「どうして決め付けるんだよ!?そんなの、やってみなきゃ分かんないだろ!?」
その瞬間、月橋の表情が変わった。
大きく見開いていた黒目がちな目が、スゥッと細まった。
口元には笑いのようなものが浮かんだが、ひどく皮肉っぽくて、――そして、何ともエロかった。
俺は初めて見る、ヤツの表情だった。
ほとんど見惚れて、思わずボンヤリとしてしまった。
月橋はそんな俺へと、さらに言い募る。
「やってみるって?本気で言ってんのか?――本当にヤれるのか?」
「え・・・・・・?」
言葉に詰まる俺に、ヤツは心なしか苛立ったようだった。
やや声を張って、一言ひとことを区切って言う。
「おれと、ヤれるのか?って、聞いたんだよ。野宮」
何をだ?一体何を言っているんだ?と言い掛けて、俺は息を声を飲み込んだ。
ヤツの腕が手が伸びてきて、俺のネクタイを掴んだ。
そして、そのままの勢いと力とで引っ張られる。
結び目を緩めていたので締まりはしなかったが、それなりに首が苦しかった。
わざわざ作った隙間を一瞬で詰め、身を乗り出してきた月橋が顔を近付けてきた。
そして、ささやく。
――まるで、誘い掛けるかのように。
「おれとセックス出来るのか?って、聞いたんだよ」
「・・・・・・」
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