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解決の夜――ベッドにて
俺がバスルームから出ると室内の照明は、ベッドヘッドの一番小さなのを残して、全て消されていた。
薄ボンヤリとした光の下で、キングサイズのベッドの奥が、縦長に盛り上がっている。
掛布団の色が青をメインにした寒色系だったので、まるで海か湖に、消えない波頭が留まっているかのように見えた。
ベッドのすぐ側に立つ。
月橋がこちら側に背を向けて寝ているのが、タオルケットのような薄い掛布団の下で、ハッキリと見て取れた。
――何も着ていない、つまり全裸なのさえ分かった。
俺の足元、フローリングの床の上には、ヤツが脱いだバスローブが落ちていた。
まぁ、当たり前だった。
ほとんどバスタオルのアレを着たままで寝る奴は、そうそういないだろう。
どうかしている。
そして、そんな当たり前のことで、ドキドキしている俺も又、どうかしていると思う――。
俺はベッドには入らずに、立ったままで月橋の背中へと呼び掛けた。
「月橋、――起きてるか?」
「・・・・・・」
返事はないが掛け布団の下で、ヤツの肩がピクッ!と震えたのが分かった。
絵に描いたような分かり易さに、悪気はないが、思わず笑い出しそうになる。
もしも、ヤツが既に眠っていたら、――それはそれでいいと、俺は思っていた。
文字通り、わざわざ寝た子を起こさなくてもいい。
ちょっとしたハプニングはあったが、全ては「酒の席であったこと」で、済ませてしまおうと、考えていた。
――つまり、なかったことにしようと思った。
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