第二滴・―堕ちる―

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 もうすぐ期限がくる。  迎えに行く時間が迫る。無事なのは毎日確認していたけれど、少しだけ気になるのは、本当に大丈夫なのかという事だ。  ずっと、私も世話をしていたけど、肝心なところは人任せであったから、どうなのかは分からないけど、やっぱり不安で仕方ない。  ちゃんと出来ただろうか。私の元に帰ってくるあの男は、きちんと生きられるようになっただろうか。  どうしてもそこにばかり意識がいってしまい、例の場所に向かうまでの間、何度か事故を起こしそうになってしまった。  落ち着いて。  落ち着いて。  大丈夫。  受付の人、というか、今まで私の代わりに、あの男の世話をしてくれていた人に挨拶をする。  菓子折りを渡して、少し話もして、お互いに近況を報告しあう。  あの男は無事なようだ。  そして、どうやら計画も達成されているようだ。  私の計画。壮大という訳でもないのだが、とても大事で、こうなるまでにしなければいけない、凄く必要な行程だった。  世話をしてくれた人は、とても優しかった。  あの男も大分懐いていると報告してくれた。  そうか。良かった。  人懐こい方が、今後のためにもなるから。
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