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天才かもしれないけど残念な人
初対面は父からの紹介だった。
病院が休みの3月終わりの日曜日の正午。
府内にあるプリンセスホテルの最上階のフレンチレストランに父に呼び出され、彼と始めて出会った。
「華凛、来週からうちの病院の循環器外科を勤める事になった 相馬結翔くんだ。華凛と同い年だけど中学生時代に高校課程を修了しアメリカで飛び級をしてるから28歳で循環器外科医の専門医資格を持ってる」
父がいる国立研究開発法人 国立循環器病研究クリニックの内科医として研修員時代から勤めてもうすぐ4年目を迎えるわたし。
「華凛も医師としてはひよっこだが結婚適齢期だ。循環器内科医と循環器外科医、夫婦としていい関係を築けると思う」
医師として勤め始めて実家を出て、病院から徒歩5分のところにある賃貸マンションを借りて1人暮らしを始めたわたし。
実家は病院から車で15分のところにあるけれど、自立のために1人暮らしを始めた。
久しぶりに休日に父に呼び出されて豪華なランチにつられて出てきたらまさかのお見合いにげんなりしてた。
父は京都大学付属病院の循環器外科教授を長く勤め、50歳を過ぎてから国立研究開発法人 国立循環器病研究クリニックで循環器外科部長をしてる。
国立研究開発法人 国立循環器病研究クリニックで権威のある父。
本当は父のいる病院に勤務したくなかかった。
でも、父の決めた事に服従な家庭で育ったわたしは流される形で国立研究開発法人 国立循環器病研究クリニックに研修医として入局し、そのまま残って循環器内科医をしてる。
父が連れてきた背が高く、シルバーフレームの眼鏡をかけた知的な雰囲気を漂わせる端正な顔立ちをした男性。
ネイビーのウィンドペンチェックジャケットと淡い青のボタンダウンシャツ。
パンツはベージュパンツに黒のベルトと靴を合わせて、センスの良い。
俳優やモデルと間違われるぐらいのカッコいい人を父から紹介され、わたしなんかを紹介されて彼はいい迷惑をしてるだろうと思った。
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