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映画好き?
「原田先輩は、映画とかって嫌いなの?」
部活終わりの、夜のマック。クーポン券が今日までだからと歩美に誘われて、何故か二人でポテトをつついてる。
「なんで映画?」
お、このポテト長い。ちょっとしたラッキーを感じて、つまみあげる。
「なんか、大谷が、原田先輩は映画とか興味ないって言ってたから」
ずずず、と歩美はアイスティーを飲み干した。ミルクもガムシロップも入れないで、まるでただの茶のように飲むので、だったら最初からウーロン茶でも頼めばいいのに、とか思った。トレイの上に転がる、コーヒーミルクを意味なく持ち上げる。
「で、お前はオレより大谷の言うことを信頼するわけだ」
ま、別にいいけどね?ちらり、と歩美を見ると、だって原田先輩と映画の話したことないから、大谷の言うこと信じるしかないじゃん、と言われる。ごもっとも。
「大谷は映画とか好きなの?」
「結構見るって」
「どんなの?」
「恋愛映画とかかな」
「お前は?」
「私?私は映画ならなんでも見るよ」
映画館の空気ってなんかいいよね、って、ああそう。コトリ、歩美の飲み干したカップの横に、ミルクを置いた。
「じゃあ、大谷と行けば?映画」
オレは別に止めないからさ。まっすぐに、歩美を見つめる。歩美は歩美で、きょとんとした顔でオレを見ていた。
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