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片想い、始まりました
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この世には二種類の人間がいる。
他人の席になんのことわりもなく座って仲間と弁当を食う人間。
そいつらに自分の席を占領され、沈黙のまま絶望に震える人間。
ボクは圧倒的に後者だ。
自分の席以外に学校に居場所なんてない。
イスと机だけが友達。
なのに、ほんのちょっとトイレにいった間にボクの席に座ってしまう馬鹿野郎は一体なんなんだ!
「キターー! スズキンは今日もメロンパンー!」
「うっせぇし、チョコチップメロン」
「同じっしょ。ジワる」
クラスで最もチャラいグループの昼食パーティーが、どうしてボクの席周辺で行われるんだ。
「……ぐっ」
絶望は無限にできるけど、奪い返すための「どいて」の一言はいえない。
コミュ障だから。
人が怖いから。
自分が嫌いだから。
笑われるのが嫌だから。
どんなふうに声をかけたら笑われないか教室後方のロッカーによりかかって考えていると、ただでさえ冷たい指先がガチガチに凍りつく。
話しかけるなんて、できるわけない──。
両手をぎゅっと握りしめたらたちまちヒビが入って、バラバラに崩壊しそう。
ボクは氷のように身も心も繊細だ。繊細すぎてうんざりする。
ついでに体温も人並み以下でとても冷たい──らしい。自分じゃよく分からない。
けど、ボクに触れた人はいつも『冷たッ!』って驚くからきっとそうなんだ。
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