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あまりにも妄想がはかどりすぎて、鼻息が荒くなってしまう自分が恥ずかしい。
間接的にしか嗅げなかったミントのような例の香りが、濃密に鼻腔をくすぐる。
やっぱり筋肉痛のためのシップなのだろうか。それだったらもっと強烈に香ってもいいような──。
「──大丈夫かい?」
ただでさえ容量オーバーのなか、トドメのような耳元でのささやき。
近い。くちびるが耳に当たってしまいそうな近さ。むしろ、おもいっきりくっつけて、舌でなぞって、フーってしてほしいぐらい。
「ダ、ダイジョウブデス」
──思考回路のほうは変態すぎて大丈夫じゃないかもしれないが。
「よかった」
(すっごく良いです最高ですぅうう!!!!)
大好きな人の腕に抱かれて耳元でささやかれちゃってるよ、ボクってば。
幸せすぎて、もはや声も出ない。
気づけば、目をぎゅっとつぶっていた。
視界以外の感覚でこの幸運のひとときを満喫しまくりたかった。
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