宮田くんは、いい香り

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   ドキドキすればするほど、ボクの手はガクガク震えて、キンキンに凍りついていく。  心臓があまりにもド派手にブッ飛びすぎて、とまった。絶対にとまった。  下心まみれなボクをよそに、宮田くんはボクをしっかりと支えてくれたまま動かない。  いつまでも密着してくれて嬉しいけど、なんだか様子がおかしいような──。 「あ、あの……宮田くん……?」 「──おっと」  声をかけられてはじめてハッと我に返ったみたいだ。 「これは失礼」   「ごめんなさい。ボクの手、すっごく冷たいでしょ。びっくりした……?」 「いや、」  宮田くんはソワソワした様子で手をひっこめたが、まるでボクと触れ合った時間を惜しむように指先をすり合わせている。  心なしか、ほっぺが赤いような──。  
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