保健室では、お静かに

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  「──ヘイ、ユー!! ウェイクアップ!」  耳の真横から声が降ってきた。 「はいっ!」  なんで英語──とツッコミを入れるヒマもなく、目をばっちり開いて飛び起きる。  しかし、すぐにまぶしさで目が焼かれたようにチカチカして、頭がパニックになった。  ボクがいつも寝起きしているのは朝になっても暗くてじめっとしたままの汚部屋なのに、目の前に広がるのはまばゆい光と汚れ一つない真っ白なシーツ。  おかしい。あまりに清潔すぎる。 「え? あれ?」  あたりを見回すも、四方は白いカーテンに包まれている。  天国かな──と思った思考をあざ笑うように遠くの方からかすかに聞こえるのは、授業開始のチャイムの音──。 「学校……まさか、保健室……?」  だとすると、さっきまでのあんなことやこんなことは夢じゃないのか──。  
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