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ボクは去りゆく宮田くんにむかって、思わず頭を下げた。
「……が、……っ、す……」
『ありがとうごさいます』と言いたかったけど、今日一日まだ誰とも話していない口からはまともに声がでなかった。
アァ、宮田くん。
圧倒的弱者のボクにまで気を配ってくれる学級委員長。
なんて素晴らしい。
なんて紳士なのだろう。
すっごく、かっこいい──。
この運命をきっかけに、ボクはすっかり宮田くんに心奪われた。
虜であり、めろめろであり、熱狂的信者であり、非公式応援団であり、非公認しもべであり……。
もはや昼ごはんなんてどうでもいい。
まろやかに甘いりんごジュースを飲みながら、至福のため息をつく。
ボクのこころにたわわに実った感情や衝動をすべて収穫し、体の真ん中でおもいっきり濃縮して、ありふれたことばに還元するならこうだ。
フォーリン・ラブ──。
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