保健室では、お静かに

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   ダンベル代わりにされた荷物は、タオルでぐるぐる巻きにされたミイラだった。  先生がさっき言ってた後客とは、この人のことだったらしい。  ベッドが空くのをこの姿を待っていたなんて、申し訳ないことをした──。 「……あれっ?」  そのとき、ボクの野生が目覚めた。  頭のてっぺんまでぐるぐるのミイラから嗅ぎ覚えのある香りがするのだ。  冷たくてスーッとするシップにも似た──ミントの香り。 「宮田きゅんッ……!」  確固たる自信と猛烈な興奮のままにタオルをひんむいてしまうと、案の定、麗しき宮田くんの隙だらけの寝顔がポロリ。 「うぎゃぁあああああん!! ボクのプリンスさまぁああああ!!! 鼻筋まっすぐ整いすぎてハイクオリティ オブ 国宝ですぅうううう!!!」  寝顔を至近距離で凝視できるなんて最高のプレゼントすぎて、もうもうもう鼻血が耳から噴き出そうになる。  鼻も耳も同じ穴だからこの際もうぜんぜん区別がなくなってしまうよね、そうだよね。  
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