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(──って、妄想荒ぶりすぎか。シップじゃないかもしれない……)
もしかしてと思って、机のなかに置いたままになっている現代国語のテキストをこっそり拝借。
折り目無くキレイに使われているそれに、ボクの汚らしい鼻先が当たらないようおそるおそる近づける。
窒息死する限界ギリギリまで息をとめてから一気に吸い込むと、ミントっぽい香りで脳ミソがすっきり爽快。気持ちいい。
テキストにまで染み込んでいるということは、この香りは宮田くんのおうちの香りである可能性がある。
(宮田くんのおうち……どこなんだろ。行ってみたい……みたすぎる……)
うちの高校はかなりの歴史と伝統がある私立だから、それなりの家柄じゃなきゃ入学できない。
ボクの場合は両親がかなり無理してくれてるけど、宮田くんの家はそれはそれはすごい家庭であるはずだ。
彼の落ち着いた雰囲気とたたずまいを見ていれば分かる。言葉遣いも丁寧だし、育ちの良さがにじみでている。
──行ってみたい。行きたい。行こう。
(でも、そんなのストーカーみたいで気持ち悪いかなぁ……)
宮田くんのおしりのぬくもりを想いながらイスにスリスリしつつ、ウジウジと迷っていると“都合のいい悪魔”が脳内でささやいた。
──『お前が気持ち悪いのは、いまに始まったことじゃないぜ。気にすんな!』
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