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ボクって、ドMだったんだ※
「──おい! 寝んな、クズ」
「……ッ!?」
落ちかけていた意識は、両耳をぎゅううっとひっぱり上げられる痛みで覚めた。
ボクは震えるまま、パチパチとまばたきする。
前髪が乱れて両目が隠れている宮田くんをまぶたに焼き付けた。いつもはキッチリカッキリな髪型だけど、陰のあるヘアスタイルもなかなか悪くない。
──あれ? ところでさっきボク、クズって言われた?
時差で気になったものの、時間を巻き戻して確認する術はない。
じんじんと痺れている耳がバグって幻聴を起こしたのかもしれない。
しかし、次なる違和感はすぐに襲ってきた。
宮田くんは手探りでボクの服とズボンの間に指を差し入れると、なんの躊躇もなく、たくしあげてくる。
「……っ!?」
「どーした変態。なにをおびえている」
耳元で聞こえるのは、宮田くんの落ち着いた声。
でも嘲笑を含んでいるような意地悪な口ぶりは、いつもとぜんぜん違う。
ボクが一度も目の当たりにしたことがない宮田くんだった。
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