1/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

休日、昼過ぎの買い物帰りに、ふとコーヒーが飲みたくなった俺は、コーヒーの持ち帰りができる喫茶店に寄った。そこで注文するまでメニューを見ながら待っていると、前の三人組の客が、俺を見てヒソヒソ話を始めた。そして、その中の若い男が俺に向かって大声で言った。 「あのぅ、持ち帰りなら、他の店の方が美味しいっすよ」 「……そうですか。でも、ここのも飲んで見たいので……」 「いやいや、貴方みたいなお顔の醜いお方に飲まれても困るんですよ。一応、ここ若い女性達に人気なお店で通ってるんで。あっ、一応私、ここのリーダーなんですよぅ」 俺の左頬には、酷い火傷がある。それは幼少期からの物で、治らないらしい。だから、これくらいの文句を言われるのには慣れていた。 大人しく帰ろうと思った時、後ろの方で、声がした。 「変わった店だな、見た目で客を選ぶのか。だったら私も店を変えるか」 何故か甚平を着ている女が、そう言いながら俺の元に来た。そして、俺を連れて去りながら、その女は付け足した。 「そんな真似していたら、近いうちにこの店は別の店に変わるかもしれんな。まぁ、頑張れ」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!