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生活感のないだだっ広い空間にベッドだけが置かれ、そのシーツの上で素肌を密着させる僕達を、カーテンの取られた窓から覗く淡い月明かりが照らしている。
嗚呼、貴方の甘い香りだけが広がっているこの空間に、恍惚としてしまう。
「悪戯っ子なのは先輩の方ですよ。」
「どうして?」
「だって、独身最後の夜にこうしてアバンチュールを愉しんでいらっしゃるんですもの。」
こうして僕を愛撫した手で、貴方は明日財力だけを有している女と婚姻の契りを交わすのでしょう?
何食わぬ貌で、いつものように糖度の高い笑みを湛えて。
独り暮らしをしていたこの部屋も捨て、戸籍上奥様になる彼女の元へと行くのでしょう?
純白なシーツを手繰り寄せて、白濁の液が伝う太腿をそっと隠した僕は上体を起こして美しい貴方を見つめる。
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