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鳥が喋った。僕は驚いて後退りする。ここは会社の近くにあるオフィス街の中の公園だ。営業で近所を回った後、天気が良かったので昼食にサンドウィッチでも食べる為ベンチに腰掛けようとした時だった。
「こんにちは、こんにちは」
後ろで声がするので振り返ると鳥がいた。
「こんにちは、天気いいね。美味しそうだね」
そいつは小さくセキセイインコのような見た目をしていてブルーの羽が綺麗な小さな鳥だった。ちょうど椅子の背もたれにチョコンと乗っていた。
ああ、きっと家庭で飼っていた手のりインコが逃げ出したんだな。
僕はそう思い、返事を返した。
「こんにちは、そうだね天気いいね」
インコに挨拶をするなんて馬鹿げていて何だか可笑しい。
「天気がいいって言ってもこう暑くちゃエアコンの効いている室内の方がよくないか?」
鳥が低い声で言う。
え、この鳥、普通に会話が出来るのか?僕はまたビックリした。
「ひんやりさ。涼しいところがいいだろう」
鳥は黒くて丸い目で僕と視線を合わせる。クリクリとした瞳が可愛らしい。僕が黙っていると鳥は首を傾げてチチチと鳴いた。
まあインコでも結構喋る事の出来る鳥がいるらしいから、たまたま会話が合ったんだろう。これだけ喋れるんだから飼い主は心配しているかな。僕は鳥に手を伸ばす。
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