Story-5 現れし少年は最悪の化身で

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基本的に響は他人と距離を取る傾向にある。知っている相手ならまだしも知らない相手にはあまり近づかれたくない考えの持ち主だ。だからこうして話しかけられるのは正直気分が悪いのだが、相手は褒めてくれているので顔には出さないようにする。 「少しお話いいですか?」 「手短ならいい。あたしも用があるからな」 「鈴重夜道さんから追いかけられていますもんね」 「…なんで知ってんだ?」 「外で怖い顔して走っているのを見かけたので」 「何ぃ!?まっまずい、近くにいるのか!?」 「アハハ、大丈夫ですよ、僕も少しだけ話をしたらすぐに行きますので」 愉快に笑う少年。特に怪しい気配は無いので少し警戒心を緩め、響は少年の話を聞くことにした。 「話ってなんだ?言っとくがあたしは魔術に関してはちっとも詳しくないぞ」 「そこまで難しい話ではありませんよ。第一試合で見せてくれた『技術革命』、あれってどれくらいの期間で身に付けた物なんですか?」 「期間?」 「一流の魔術師でも容易くは会得出来ない技術ですからね、どれくらいの修行を積んだのか興味がありまして」 「そんな難しいのかあれ。つってもあたしが出来たのはほんの二日くらいだぞ」 「二日で出来てしまったんですか?」 「ああ、ちょっといろいろ考えてやってみたら出来たな。形になるのに時間がかかったけど」 「なるほど、魔術の才能はすごいみたいですね」 「ふふん」
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