Story-1 五番目のちょっぴり厄介な頼み事

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魔術師の中でも希少な存在とされる召喚師。彼らはこの世にいない別次元の生命体を呼び出し、従えることが出来る全く別の魔術を行使する者である。 代価を払い、時に戦いを優位に運び時に事態の好転を招く人ならざる者たちを従える召喚師。 その召喚師の一人である鈴重 夜道(すずしげよみち)は、一人薄暗い地下室に座り込んでいた。 継承してきた魔術の全てが記された魔術原書を広げて黙々と読む彼の表情は険しさで一色。何故なら彼は、原書に記された最後の悪魔を呼び出そうとしていたからだ。 世間に知れ渡っていないオリジナルの悪魔『アビネアスの五席』。その五席目に座する最後の悪魔との契約の時である。 (召喚方法は変わらずか。書いてあるのも簡単な容姿と特殊能力だけ。……しかし、こいつとの契約は一筋縄にはいかねえぞ) 第五席の悪魔『悦びのティスネム』。この悪魔の能力は今までの悪魔とは全く違う。 まず第一に、ティスネムの能力は戦闘向けでないこと。 そしてその能力は、戦闘において最も厄介な物。 「今まで通り屈服させなきゃ契約出来ないとなるとキツいな…」 『悦びのティスネム』の能力。それは超速再生である。 どんな傷も忽ち治り、あらゆる魔術効果、さらには毒性の物も効かないある意味不死身の悪魔。
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