Story-1 五番目のちょっぴり厄介な頼み事

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そんな悪魔をどうすれば屈服させられるのか。今まで通り肉弾戦で挑んでも全部回復されてチャラにされてしまうとなるとじり貧だ。 おまけにティスネムの情報が全くの皆無。原書に記されたことしか乗っていないので、何が有効で何に注意すべきなのか一切わからない。 当然である。夜道の先祖たちはティスネムにまで辿り着いていないのだから。 第三席の悪魔『憤りのアネリオ』に阻まれ叶わなかった五席全てとの契約。唯一の契約者である最初の『魔を統べる謀反者(サモンマスター)』以外姿すら見たことの無い謎多き悪魔。 「………やってみるしかわからん、か」 呟いた夜道は目を向ける。そこは地下室唯一の出入り口で、その外からは夜道に仕えるメイド、アリア・ソロプリールがひょっこりと覗いていた。 一度だけ頷くとアリアも頷き返し、地下室に結界が展開される。鮮やかな青白い光は周辺の家や人々に影響が出ないように完全に隔離し、誰に迷惑をかけることも無くなった夜道は立ち上がり自分の手をカッターナイフで切り裂いた。 痛みに顔を歪めながらも流れ出てくる血を床へ落とす。予め描かれていた召喚術に使う紋様に流れ着くと途端に血は線上を走り、瞬く間に広がって光を放った。 「『森羅万象の裏側に潜みし者よ。我は意思を持つ豪傑の一人、我が声を聞き、意思を感じたのであれば答えよ』」
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